「BEWITCHINGTALE」、「BEWITCHINGFELL」

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「BEWITCHINGTALE」第3話 完結

「BEWITCHINGTALE」第3話



「決意を抱く限り、何度だって君の前に現れる」


そう言いながら少し疲れているシアトの前には倒したはずの人間が。


いや、人間では無いナニかだ。



「シャボン玉はまだ、効果を発揮してる」


幸いまだそいつはフラフラとして汗もかいている。まだ、希望はある。



何としてでも諦めさせるのだ。



幻惑が分かる、感じる。音を聞き、躱すのだ。



避ける度に揺れる目を覆う布が邪魔になる。それを外し投げた。



「…その目は」




決意。フリスクの目は見えなかったのではない。決意によって見えなくされただけだったのだ。いや、違う。これはフリスクでは無い。別の誰かだ。


シアトは思った。フリスクは目は見えない。コイツは…誰だ?


「当たり。私はあの時間軸で君達と仲良くなったフリスクという存在では無い。私は私。得られたLOVEを喜ぶ存在。」



フリスクはいない。ならば手加減なんていらない。そうだよな、ピップ。


別の平和になった時間軸ではアズリエルという存在がもたらした強大な力と奇跡により視力を取り戻したフリスクはもういない。もう、いないのだ。


シアトは出したくなかった本物のブラスターを2つ出した。光線を容赦なく浴びせる為だ。

ブラスターの攻撃をかいくぐり避けていくなにか。魔法を使い、決意を抱く度にシアトは少しずつ溶けていく。


「シャボン玉なんて効かないよ、それも…効かない」



ソレは素早く動き回避をする。間合いを詰められ身体を裂く。シアトはその攻撃に…耐えられなかった。





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なんて呆気ない。ソレは背を向け歩く。


シアトの身体からは不思議な色のシャボン玉の液体が溢れ落ちる。辺りがシャボン玉の液体の匂いに包まれた。


「僕を倒した所でもう手遅れだ…」


シアトは力なく指を指す。


「やり直しなんて出来ない」



「こんな事をしておいてやり直して仲良くなんて…僕にはできない」




「永遠に僕は君を許さない」




「その引き摺った幻惑がやり直した後の君にも受け継がれるだろう」




「二度と…こんな事をしないように…ね」




シアトはまだフラフラと歩くソレに自身の能力をぶつけたのだ。皆を殺した罪。一生消えない罰だ。


その先にあるものなんて何も無いのに。




「さて…今日も恒例のシャボン玉をふかしに行こうかな」



まるでやる事を全てやり終えたかのようにシアトはよろよろと歩き、倒れる。



「ピップ…今日はなんだい…?」



そう呟いて、シアトは塵になった。



「あとは、アイツだけだな。…もう、必要ないよね」


そう言い落ちていた布を拾い首に巻く。

目はもう…見える。その目はLOVEと決意に満ち溢れていた。


フリスクという存在ももういない。完全に私は、私の名はキャラなのだ。



決意が目に宿った為に何も映さなくなったが得られたLOVEを基にやっと、見えるようになったのだ。




アズゴアもフラウィーも殺した。





この世界を壊した後は再構築して、彼等を逆の性格に仕立ててみようと思う。その際自分はとてもいい子になっているかもしれない。それもまた、面白いと思わないかい?



…そしてこの罪は消えることは無いが。これを見ている相棒はどう思うかな。





アンダインもアルフィーも。アズリエルも。みんなみんな悪者になるんだ。



さあ、この世界を消そうではないか。



そして再構築しよう。







「BEWITCHINGTALE」

完…「BEWITCHINGFELL」へ続く。

「BEWITCHINGFELL」スノーフル編 その1

「第2話 スノーフル編」その1



遺跡から出て、歩く。とても寒いが、大丈夫だ。まだ、見える。



「フリスク…このまま真っ直ぐに進むんだ」



フラウィーの言葉通りに真っ直ぐ進んでいく。フラウィーは少し震えている。やはり寒いのだろう。


バギ…


枝が割れる音が後ろから響く。だが、誰もいない。



また歩く。気の側に誰かがいるような気がしたが振り向いてもいない。



そして前を向く。おかしい。さっきまで誰もいない筈なのに。誰かがいる。



「よお、お前、ニンゲンだろ?こんな所によく来たもんだ。この世界のルールでは挨拶、握手はするもんだぜ」


「や、やめておいた方がいいよ、コイツは…」



フラウィーの制止も聞かず、フリスクは手を伸ばす。だが…



「おっと、手が滑った」



身体が熱い。恐る恐る下を見る。骨が、身体を貫通していた。目の前の存在を見ながらその身体は崩れ落ちた。





ーーーーーーーーーー




目が覚めるとさっき出会ったモンスターがいたところの少し前にいた。と同時に胸が締め付けられるように痛くなる。見える風景も少し歪んでいる。



もしや、死ぬ毎にこんな事が起こるのか?


考えても始まらない。先に進む。



「よお、お前、ニンゲンだろ?こんな所に…」


そいつの言葉を無視して素通りしていく。少し小さな小屋が見える。そして目を疑った。



いるのだ。さっき素通りしたはずなのに。



「ひでぇなニンゲン。オレを無視するなんてよォ。1つ忠告をしておこうと思ったのにな」


そいつはヘラヘラと笑いながら喋る。


スケルトンだった。



「まあ、いい。オレはシアト。見ての通りスケルトンだ、ここの見張りをやってるが、正直退屈でな。そこにお前が現れたというわけだ。」



(それに、コイツは1度殺したのに何故生きてるのか、興味がある)



フリスクは不思議な気持ちになった。他の風景は歪んでいるのに、目の前のスケルトン、シアトだけ。ハッキリと捉える事が出来るのだ。


フリスクは自分の事を話した。



「へぇーお前は慈悲を持ってここから出たいというのか。だがな、この世界は殺るか殺られるかの世界だ。慈悲なんて通用しない」



「そんな事ない!現にトリエルは落ち着きを取り戻したんだ」


フラウィーはシアトに言う。シアトはフラウィーを睨んだ。


「おい糞花、今度また何か言ったら殺すからな」



「だ、ダメだよ!」



フリスクが止めたからかシアトはため息をつく。


「あっ、レーゼが来るな。お前、彼処の岩に隠れてろ」


フリスクはシアトに言われるがまま岩に隠れた。




「よお、兄弟…いや、ボス」



「よおでは無い、お前は何もせずそこにいるんだな…ニンゲンが来たらどうするんだ!?」



現れたのは鋭い目つきをした長身のスケルトンだった。凄く怖い。恐怖で震えている。




「まあいい。とっとと罠を仕掛けて帰るぞ」


「了解、ボス」



シアトはチラッと岩を見るが罠を仕掛ける為に離れる。レーゼは小屋の前に立ったまま動かない。シアトがちゃんと罠を仕掛けるか見張っているのだろう。




「…寒い…」



「…なんだ?どこにいる…出てこい!」




マズイ。ボソッと呟いた声だったが気づかれた。仕方ないとフラウィーを隠して出る。


しかし。

「あ…ダメ…嫌だ…おかしく見える…」



シアトは見えているのにトリエルの時と同じくまた酷い幻覚に襲われた。ボスと呼ばれたモンスターは目を鋭く光らせ近づく。



「誰だ貴様は。随分汚い格好だな。」



恐怖で身体が動かなかった。涙が溢れて止まらない。



「とりあえず、殺すか」



その言葉を聞き終わる頃には身体には無数の鋭い骨が。



「…ぁぐ…!」



それから何回も身体を貫かれた。その度に酷い幻覚がフリスクを襲う。



どうして自分の目は正常に働いてくれないのだろう。


この幻覚は、何故起こっているのだろう。



そんなことを考える内に気づいたらまた同じ場所にいた。



また、殺される。そう思った。




「コイツは殺してもボスのストレス発散にならないぞ、やめとけ」



いつの間にか戻ってきたシアトが攻撃を止めた。



「貴様、ソイツを庇うのか。」


「いや、違うぜボス。コイツは俺の獲物だ。誰にも渡さないって事よ」



シアトの目は赤い。いつも光らせていたが今一際輝いていた。




「…だ、大丈夫だよ、その…ありがとう、だから…話を…」



シアトはバッとフリスクの肩を掴む。



「ダメだ!」



その言葉にフリスクは驚き意識を飛ばしてしまった。その証拠にかくんと頭が垂れる。シアトは流石に焦る。ボスは2人を見下し帰っていく。シアトもフリスクを抱えて後を追った。

「BEWITCHINGTALE」第2話

「BEWITCHINGTALE」第2話



気づいたらベッドの暖かさは無く寒い場所にいた。枝をつつくと雪のような感触が。いつの間にかトリエルから貰ったパイが持ち物の中にあった。



「…木がある…真っ直ぐに…」


枝を頼りに歩いていく。そして聞こえる足音。



「ニンゲン。ここでの挨拶を知らないのかい?こっちを向いて握手しよう」



声の方を探し手探りで手を探す。

気を遣ってくれたのか手を握られた。



シャボン玉の匂いが辺りに満ちた。





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「覚えてるかい?君と僕が初めて出会ったのはスノーフルの森だったよね。」



ナイフを振る音とシャボン玉の匂いが交じり液体がまた1つ身体に触れる。




「…うん。そこで…君は何をしたと思う?」




また、あの光景が頭に浮かび駆け巡る。





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「ニンゲン!お前の目を覆っているバンダナ!とてもイカしているぞ!だから俺様も頭にバンダナを付けてみたぞ!これでヒーローとお揃いだ!」



また、気づいたら時間が飛んでいた。

自分はシアトの弟、ピプレセと仲良くなったのだ。

ピプレセはとても優しい性格の持ち主だった。でも触り心地は硬く、しかし脆かった。


デートもして楽しんだ。ピプレセはとても優しく、楽しく、面白く言葉を言ってくれたりと有意義な時間を過ごした。


「ありがとう、ピプレセ。」



風が吹く。バンダナが空を舞う。枝をつつくと彼が身につけていたであろう服が落ちている、そんな感じだった。




「ああ…そうか」





それを踏みつけ更に先へ進む。それをシアトは見逃さなかった。



「やはり、君はこの道を進むのか」



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「悲しいなぁ…君は何を思ってピプレセを殺したのか、僕には理解できない」



ナイフを避けつつシャボン玉を作る。フリスクの目には存在しないであろうブラスターが。



フリスクは幻覚作用により普通存在しない、シアトもだしていないブラスターに囲まれている。その攻撃を喰らい倒れるフリスク。



ソウルは砕けた。




アンダインに追いかけられたこと。アルフィーとメタトンによる壮大な劇場を潜り抜けたこと。真実のラボで何が起きたのか知ったこと。アズリエルとの邂逅で目が見えるようになった事も。




楽しかったあの頃の思い出はもう、ないのだ。