「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編
「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編
「フリスク。ここはウォーターフェルって言うんだ。」
フラウィーは洞窟の名前を教えてくれた。本来なら水が流れエコーフラワーという花が咲いていると。
「青いの?」
「うん、フリスクはどう見えるの?」
フラウィーはフリスクが見える世界に少しの興味を抱いていた。自分とは違う景色を見ているのだろう。それは悪い景色なのだろう。
「変な色…赤い色とか、変な形の花とか…変な口のようなものとかが見えるの…」
まるで違う場所を見ているみたいでフラウィーはフリスクの事が心配になった。
あれからシアトの協力もあって長身のスケルトン、レーゼから逃れたフリスク達は次の場所、ウォーターフェルを歩いている。
鐘の音が歩く度に小さく鳴る。幾度かレーゼに殺され益々酷くなる幻惑にフリスクは戸惑いを隠せなかった。それでも、地上に帰らねば。…太陽の光が恋しい。
「あれは…」
フラウィーは蔦でフリスクの口を塞いだ。フリスクは突然の事で驚くがフラウィーが指した方向を見て理解した。
誰かがいる。
(とりあえず、草むらに隠れよう)
フリスクは静かに歩き、草むらに入った。その音に気づいた、所々割れている鎧を身に纏ったモンスターがこちらを探す。だが、少しするとその存在は消えた。
「助かったのかな…フリスク、大丈夫?」
「う、うん…」
足が震えて止まらない。フラフラと歩きながらフリスクは輝く決意の光に触れ、セーブする。
「行こう。」
怖くても、あと何回死ぬ事になっても、それでも止まるわけにはいかない。その決意だけは手放さないと決めた。
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その後、いくらか鎧のモンスターに襲われたりマネキンに取り憑いたゴーストと鉢合わせたりしたが、上手く回避し近くの場所で休憩をとることにした。
「フリスク、大丈夫?」
フラウィーは汗が酷いフリスクにすくった水を飲ませる。水を飲んだフリスクの顔色は少し良くなった。
「ありがとう、フラウィー…」
フリスクは体育座りをして顔を伏せる。
「…帰れるかな」
全てなかったことして、この幻惑と別れたい。それに呼応するかのように現れるリセットの表示。フラウィーはそれを見つめた。
「フリスク、リセット…するの?」
フリスクは目の前のリセットボタンに触れる。だが、現れたのは「File not found」という文字だった。
「やっぱり上手くいかないね、前も試したけどダメだったの。元に戻る事すら叶わない。」
「フリスク…」
フリスクはゆっくりと立ち上がった。そして鐘を握り祈る。
(シアト…)
シアトの事を思いながらゆっくりと進む。その先に地上への入口があると信じて。
この先喉が乾いても飲み物が無いかもしれない。そう考えたフリスクはゴミ捨て場から拾って洗った瓶に水を入れる。多分飲めるはず。
水入りの瓶を持って先へ進んだ。
「来たな?ニンゲンよ」
尖った山がある闘技場と呼ばれる場所に鎧を身につけ自分を襲った存在がいた。
「ここまでくるとは中々勇気があるのか死にたいのか…分からないが、褒美に苦しまずに私、アンダインが貴様を殺してやろう!」
アンダインの槍が降り注ぐ中フリスクはフラウィーを服の中に入れて避けようとしたが、その槍すらおぞましい姿に見え脚がすくんでしまう。
「フリスク!!」
槍がフリスクの手足を貫いた。
「フリ…?」
その頃、シアトは小屋にいた。そして自分が身につけていた鐘がひとりでに鳴ったのを見てフリスクになにかあったのではと察知した。
「フリ!」
ショートカットを使い、急いで向かう。
「フリ!!!」
シアトはフリスクに駆け寄る。フラウィーにタネを使うよう指示しアンダインと向き合う。
「フリの危機を察知して来たら隊長さんじゃないか」
「貴様はレーゼの兄か!何故ニンゲンを庇うのだ!気でも触れたか!!」
シアトは笑う。
「コイツは俺の獲物だからな!!俺以外に殺させやしない!それだけだぜ!」
シアトが放った何かの光が辺りを照らす。アンダインが目を開けると辺りには誰もいなかった。
「逃げたか…!!逃がさないぞ!!」
アンダインは潰された片目を抑え悔しそうに唸った。
「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編 終わり ホットランド編へ続く。