「BEWITCHINGTALE」、「BEWITCHINGFELL」

自AU「BEWITCHINGTALE」、「BEWITCHINGFELL」の小説を載せています。

「BEWITCHINGFELL」ホットランド編

「BEWITCHINGFELL」ホットランド編


続きから


ロードしますか?


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「大丈夫か?フリ」


フリスクはシアトに抱えられ持ち場の1つの小屋にいた。フリスクは頷くと優しく降ろされる。


「そこの花に感謝するんだな。アレがなかったらまた死んでたんだぜ」


フリスクはフラウィーを撫でた。フラウィーは満更でもない照れ顔をしている。


「ありがとう、フラウィー」



「当然の事をしただけだよフリスク」


「フリ、ここはホットランドだ。下はマグマだから落ちたら死ぬ。」


マグマ。フリスクからはマグマには見えていないかもしれない。落ちても良さそうな液体に見えるかもしれない。


「ここからは俺も行く。」


シアトはそう言って歩く。


「ありがとう」


フリスクは前を歩くシアトの手をそっと握る。彼は驚きはしただろうがこちらを向かなかった。


フラウィーを肩に乗せ一緒に歩いこうとしたその時、後ろから鎧の歩く音がカシャンカシャンと響いた。アンダインだ。ここまで追ってきたのか。だが、アンダインはフリスク達の前で倒れた。



「隊長さんよ、大丈夫かい?」



「う…水…」


水。そう言えば飲み物の為に汲んだ水があったはずだ。水入りの瓶を持ってアンダインの方へ向かう。シアトはそれを見つめる。慈悲を彼女にも振る舞うのだな、やはり彼女は優しいと再認識した。



「…」


水をアンダインに掛ける。


アンダインはどうしてと言わんばかりの表情だったがゆっくりと立ち上がってゆっくり歩いて去っていった。



「…アイツはこの世界を守る騎士でその隊長なんだ」


「隊長…」


「そうだ」



フリスクはその場で座り込んだ。フラウィーはフリスクが立てない事を察した。



「立てない…力が入らない…進まないといけないのに…」



泣きそうになるフリスクにシアトは手を差し伸ばし立ち上がらせ横抱きにして歩き出す。フリスクはそれに驚いた。



「シアッ…!?大丈夫だよ…!?」


これのどこが大丈夫なんだと言い、そのまま歩き出す。


少しすると大きな建物が見えてきた。


「…誰?」



建物の中には薬の瓶を持ったモンスターがいた。


「アルフィーか?」


「あら、あなたは…そこにいるのは人間…?!」


アルフィーはフリスクを見て薬の瓶を落としかける。余程大事なのかその瓶を握りしめて汗をかきながら息を整えていた。


「アズゴア王の所に行くつもりでしょう?その前にコイツに付き合って欲しいの」


アルフィーがそう言うと照明が落ち、突如放たれたスポットライトには少しボロボロのロボットがいた。


「やあ、君が人間かい…?ボクのショーへようこそ。」


「ど、どうも…」


「フリ、コイツはつまらないと評判のメタトンだ」


シアトはメタトンの事を簡潔に言うとメタトンは少し俯いたがまた言葉を並べる。

「酷いいい様だな、そうかもしれないけど、ね。」


メタトンは4本の腕に武器を持って構える。


「おーおー怖い怖い。フリ、逃げるぞ」


「う、うん」


シアトは再び背後から何かを出現させ光を放つ。フリスクは背後にある何かを見ることは出来なかった。


「フリスク、ボクは…彼を敵にしたくないよ」


フラウィーは震えながらそう言った。



途中の道で3人は休憩を取っていた。

シアトはどこからかデスソースを取り出してそれを口に入れる。

フリスクには軽い食事をとお手製のホットドッグを差し出す。フリスクはフラウィーと半分に分けて食べた。


シアトはフリスクの口元に付いたケチャップを指で取り舐める。フリスクは少し照れていた。



休憩も終わり3人は何故か段々ボロボロになっていくメタトンの罠を乗り越え、ホテルに着いた。メタトンが建てたホテルは静かな雰囲気で少し薄暗かった。



「ここの裏はコアへと繋がっている。通る時に見えたあの大きな機械だ。あのコアからアズゴア王の所に行けるエレベーターがある。」


腹ごしらえに入ったレストランでシアトはフリスクに次の進路について説明した。フリスクは少し安心した様な表情を浮かべ「うん、うん」と相槌をうつ。


フリスクはレストランと聞かされてもあまり信じられなかった。シアトの周りは既におかしくぐちゃぐちゃに見えており、他にもレストランにいるモンスターの姿、話してる内容すらおかしく思い始めていた。ただ、シアトだけはハッキリと見えて聴こえるのだ。シアトだけが頼りになってきている。


もっと彼と一緒にいたいと。彼がいないと自分は、自分は。フリスクは前々から彼に抱いていた気持ちがハッキリと鮮明になっていくのを感じた。




「BEWITCHINGFELL」最終話へと続く。

「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編

「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編




「フリスク。ここはウォーターフェルって言うんだ。」



フラウィーは洞窟の名前を教えてくれた。本来なら水が流れエコーフラワーという花が咲いていると。



「青いの?」



「うん、フリスクはどう見えるの?」



フラウィーはフリスクが見える世界に少しの興味を抱いていた。自分とは違う景色を見ているのだろう。それは悪い景色なのだろう。



「変な色…赤い色とか、変な形の花とか…変な口のようなものとかが見えるの…」



まるで違う場所を見ているみたいでフラウィーはフリスクの事が心配になった。



あれからシアトの協力もあって長身のスケルトン、レーゼから逃れたフリスク達は次の場所、ウォーターフェルを歩いている。



鐘の音が歩く度に小さく鳴る。幾度かレーゼに殺され益々酷くなる幻惑にフリスクは戸惑いを隠せなかった。それでも、地上に帰らねば。…太陽の光が恋しい。



「あれは…」



フラウィーは蔦でフリスクの口を塞いだ。フリスクは突然の事で驚くがフラウィーが指した方向を見て理解した。


誰かがいる。



(とりあえず、草むらに隠れよう)



フリスクは静かに歩き、草むらに入った。その音に気づいた、所々割れている鎧を身に纏ったモンスターがこちらを探す。だが、少しするとその存在は消えた。



「助かったのかな…フリスク、大丈夫?」



「う、うん…」



足が震えて止まらない。フラフラと歩きながらフリスクは輝く決意の光に触れ、セーブする。


「行こう。」



怖くても、あと何回死ぬ事になっても、それでも止まるわけにはいかない。その決意だけは手放さないと決めた。




ーーーーーーーーーーー



その後、いくらか鎧のモンスターに襲われたりマネキンに取り憑いたゴーストと鉢合わせたりしたが、上手く回避し近くの場所で休憩をとることにした。



「フリスク、大丈夫?」


フラウィーは汗が酷いフリスクにすくった水を飲ませる。水を飲んだフリスクの顔色は少し良くなった。


「ありがとう、フラウィー…」



フリスクは体育座りをして顔を伏せる。



「…帰れるかな」



全てなかったことして、この幻惑と別れたい。それに呼応するかのように現れるリセットの表示。フラウィーはそれを見つめた。



「フリスク、リセット…するの?」



フリスクは目の前のリセットボタンに触れる。だが、現れたのは「File not found」という文字だった。



「やっぱり上手くいかないね、前も試したけどダメだったの。元に戻る事すら叶わない。」



「フリスク…」



フリスクはゆっくりと立ち上がった。そして鐘を握り祈る。



(シアト…)



シアトの事を思いながらゆっくりと進む。その先に地上への入口があると信じて。


この先喉が乾いても飲み物が無いかもしれない。そう考えたフリスクはゴミ捨て場から拾って洗った瓶に水を入れる。多分飲めるはず。

水入りの瓶を持って先へ進んだ。





「来たな?ニンゲンよ」



尖った山がある闘技場と呼ばれる場所に鎧を身につけ自分を襲った存在がいた。



「ここまでくるとは中々勇気があるのか死にたいのか…分からないが、褒美に苦しまずに私、アンダインが貴様を殺してやろう!」


アンダインの槍が降り注ぐ中フリスクはフラウィーを服の中に入れて避けようとしたが、その槍すらおぞましい姿に見え脚がすくんでしまう。


「フリスク!!」


槍がフリスクの手足を貫いた。




「フリ…?」



その頃、シアトは小屋にいた。そして自分が身につけていた鐘がひとりでに鳴ったのを見てフリスクになにかあったのではと察知した。


「フリ!」



ショートカットを使い、急いで向かう。




「フリ!!!」



シアトはフリスクに駆け寄る。フラウィーにタネを使うよう指示しアンダインと向き合う。



「フリの危機を察知して来たら隊長さんじゃないか」



「貴様はレーゼの兄か!何故ニンゲンを庇うのだ!気でも触れたか!!」


シアトは笑う。



「コイツは俺の獲物だからな!!俺以外に殺させやしない!それだけだぜ!」



シアトが放った何かの光が辺りを照らす。アンダインが目を開けると辺りには誰もいなかった。



「逃げたか…!!逃がさないぞ!!」



アンダインは潰された片目を抑え悔しそうに唸った。






「BEWITCHINGFELL」ウォーターフェル編 終わり ホットランド編へ続く。

「BEWITCHINGFELL」スノーフル編その2

「BEWITCHINGFELL」スノーフル編その2




目が覚めると目に付いたのはぐにゃぐにゃのソファ。そして涙を流して泣きついてきたフラウィーと、ハッキリ映るシアトだ。



思わず戸惑っているフリスクにシアトは答える。


「何故ここにいるのか分からないって顔だな。お前が気絶したからここに運んだんだ」



気絶していたのかとフリスクは思う。

フラウィーを撫でて立ち上がろうとするが、思うようにはいかない。


「おっと。気をつけろよ、下手したらまた死ぬからな」



シアトに腕を掴まれ体勢を戻してもらう。フリスクは軽くペコッとお辞儀した。


「あ、ありがとうございます…」




「かしこまらなくてもいいぜ。気軽に話しかけてくれよ。お前、確かフリスクといったな?そこの花が言ってたからな」



「う、うん」



「ふー、怖いか?俺が、俺達モンスターが怖いか?」


「…」



フリスクは不安と恐怖と戦っていた。地上に出る際にここを抜けなくてはならないからだ。フラウィーはフリスクを励ます。



「大丈夫だよ、フリスク。僕がサポートするから」



「ありがとう、フラウィー」



「行くのか?」



「うん。ここまでありがとう。地上に、帰らないと」


「ちょっと待て」



シアトはポケットから1つの小さな鐘を取り出した。それをフリスクにかける。



「お守りだ、俺も同じやつ持ってるんだ。何となく落ち着くだろ?」



小さな鐘は美しい音を放つ。フリスクは少し幻惑が和らいだ様な気がするのを感じる。



「ありがとう」




外に出て先へ進む。その先には何があるのか分からないが、きっと大丈夫だと信じる。



「あっ!あれは!」




進んだ先には先程の長身のスケルトンが。




「ここを通るのか…?軟弱なニンゲンよ」




「…はい。地上に帰るために。だから、通して貰いたいです」




「ほう、お前、本当の命知らずなのか…ならば俺を倒してからにするんだな!!俺はお前を捕らえてじっくり殺す!!」



フリスクは身構えた。フラウィーは隠れながらも見ている。




「来るよ…!」



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「で、捕まったのか」



「うん…」




結果、死なない程度にされ閉じ込められてしまった。…それはカレージのような所だった。




「やっぱりここから出られないのかなぁ…」



「あー……そうだ、俺がなんとかしてやる」



「ほんとに?」


シアトは頷く。


「これからのあのボスみたいな強大なモンスター達は俺がなんとかしてやる。だが、それだけだ。後はお前達で進めよ」



シアトはフリスクの頭を撫でながら小屋の鍵を開ける。




「じゃあ、行くか」




お互いの鐘の音が小さく鳴った。