「BEWITCHINGTALE」、「BEWITCHINGFELL」

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「BEWITCHINGFELL」第1話 遺跡編

「第1話 遺跡編」



赤。赤く染まった空を見る度に気分はどんよりとしてしまう。


「ここは…」


辺りを見回す。少し変な光景が目の前に広がる。不意にどこからか声が頭に響いてきた。



「この世はな、殺るか殺られるかだ」



恐ろしい言葉。身体が震える。だけどここを出ないと変わらない。


この世界はそんな言葉をそのまま表したような、狂気に満ち溢れていた。




「君は…?」


「花…?」


進んだ先にはボロボロの花がいた。

花は怯えている。自分が怖いのか。

「ひっ!やめて殺さないでお願い…!」


殺すなんて出来ない。それを伝える。


「本当に…?君は優しいんだね」


「僕はフラウィー。…君はもしかして目が悪いのかい?目元が酷いよ…?」


汗と共に困惑した。そんなに酷いのか。



「大丈夫。君と一緒に行く。僕が、君の目になるよ」




「…ありがとう。フラウィー」




フラウィーを肩に乗せて隠しながら歩いていく。すると現れたのは…




「あなたは…可哀想に…落ちてきたのね。大丈夫よ、私はトリエル。あなたを守ります。殺してでも…ね」




羊のようなモンスターが現れた。トリエルと言ったモンスターを見たフラウィーはとても怯えている。


「怖がらなくても大丈夫よ?ほら、こちらにいらっしゃいさあさあほら!!」




手を握られ早足で進んでいく。





遺跡を進んで家に入っていく。

漸く離された手はとても痛く熱い。教えてもらった部屋に入ってフラウィーと相談する。



「あの人は出会ったモンスターを焼き殺すんだ…このままだと殺されてしまう…どうするの??」



「…」





答えは簡単だ。自分は戦う事を望まない。停戦を臨もう。そう決意した瞬間。




「…!!」



今いる場所が部屋のベッドだったからよかった。だが、部屋が、フラウィーが決意をした途端ぐちゃぐちゃに映って、気持ち悪くなる。



「ああ…大丈夫…?変なのが見えるの?ねぇ…お願い…目を…開けてくれよ……」




そのまま意識を離した。






ーーーーーーーーーーー







「……私の決意が欲しい?」



「そう、君の決意があれば私の実験は上手くいくのだよ、○○○」


「…」



「つまり、私の目に宿った決意を奪うと」


「なに、決意をとろうが失敗しようが、構わない。副作用が残るがね」



「断ると言ったら…?」


「…断る…ねぇ…ふーむ、…拒否権はないんだがね…?」



「あ…やめろ!触るな!やめろぉぉぉおおおお!!!!」





ーーーーーーーーーーー




「やめろぉぉぉおおおお!!!!」



なんて酷い悪夢だろう。汗が酷い。フラウィーも声に驚いてこちらを見ている。


「あ……ごめん、驚かせたね…」



「う、ううん。でも魘されてたみたいだった。」



この声に反応したのか開かれるドアが。



「大丈夫!!?酷い声が聞こえたから誰かに殺されたのかと…私が…ついていながら…我が子よ…」



駆けつけたトリエルに抱きしめられる。だが、たてている爪が肌を食込んでとても痛い。とても苦しい。思わず涙がこぼれる。


「…帰りたい…」



思わず帰りたいという本音が出てしまう。トリエルはそれを聞いて顔を強ばらせた。



「帰りたい…??何を言ってるの!!?外は酷いのよ!!?!?ここにいなさい!!!!」



トリエルは怒り、外へ出てしまう。それを見たあと追いかけた。地下への階段をフラウィーと部屋にあったパイと共に。





「貴方は、どうして言うことが聞けないの!!?…そんなにお仕置きをして欲しいのかしら…お望みどおり灰になりなさい!!!これもあなたの為なのよ…我が子よ…!!!」



怒りと悲しみが混ざったおどろおどろしい姿のトリエル。停戦を試みようとしたがその決意が邪魔をする。背景諸共不思議な色とトリエルがもっとおぞましく見えてしまうのだ。唯一炎の魔法は正常に映るのが救いである。



とても熱い。本当に熱い。トリエルの炎は容赦なく振るわれた。避けるのに精一杯ではあったが、それでも戦う事を拒んだ。



「もう…やめてよ…こんなの望んでいない…家に帰りたいだけなんだ…」



「…そう…じゃあ、死になさい」




身体が燃える。そして、なにかが壊れるのを感じた。



「…」


目覚めたのは家の前。




何度でも立ち向かえと、決意を抱けと言うのだろうか。幻惑がそれを許さない。



「ああ…また、立ち向かうのね…」



フラウィーも隠れているのだろう。早く行かなくては。



「また、なの…?これ以上手加減が出来ないのよ…」



「…闘いたくない。どうして、そんなに闘わなくてはならないの?」



「…それは…この世界が、殺るか殺られるかの世界だから。あなたをここから出してしまえば、貴方はアズゴア達に殺されてしまう。あなたの為を思っているのよ我が子よ…」



トリエルは泣き崩れた。それをゆっくりと近づき抱きしめる。


「ごめんなさい、でも、外は…本当に恐ろしい地底の世界。ここからはモンスター達には…気をつけて…」




扉は、開かれた。






「BEWITCHINGFELL」

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